2017年10月27日金曜日

他と差別化を図るには『何をやるか』ではなく『何をやらないか』で決断しよう。



楠木 建(著)『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 』を読んでいます。

商品開発では、早いとか、薄いとか、安いとかを目指して、もっと頑張ろう的な世界は、最終的には恐ろしい消耗戦になります。

そのような高スペック競争や低価格競争にならない為には、どうすればよいのでしょうか?

競争戦略の第一の本質は「他社との違いをつくること」です。競争の中で業界平均水準以上の利益をあげることができるとしたら、それは競争他社との何らかの「違い」があるからです。



他社との違いを明確にすることは、ポジショニング(SP: Strategic Positioning)と呼ばれる大切なマーケティング戦略です。

マイケル・ポーターがポジショニング戦略(差別化戦略)として、マーケティングを体系的に整理しました。

ポーターは「他社と違ったユニークな存在であるということが利益へのカギだ。そしてユニークさとは企業のポジショニングの問題である」と断言します。

「利益を出すためには、まずは儲かりやすい業界とそうでもない業界を見極めることが大切だ。もし、利益の極大化がビジネスのゴールであれば、PCのような利益が出にくい業界で競争すること自体がそもそも間違っているのではないか……」という疑問です。



メジャーリーガーの松井秀樹 氏は、野球を選択し、ホームランバッターとして、外野手を選択し、日本のプロ野球、メジャーリーグへポジショニングにしていきました。

メジャーリーガーのイチロー 氏は、高校時代はピッチャーとして甲子園に出ていますが、事故でフォームが崩れ、バッターに変更し、ホームランではなく、ヒット数で記録を出し続けています。

陸上競技ハードル日本記録保持者の為末 大 氏は、高校時代に100メートルを目指していましたが、400メートルハードルに切り替え、勝てるところで勝負する、という戦略に切り替えメダルをとりました。

その為末 氏は、「人間には変えられないことのほうが多い。だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要なのだ。」と言っていますが、同じ競技(業界)でも、どこに位置づけるかポジショニングをした結果であることが分かります。

SPの戦略論を支えているのは「トレードオフ」、つまり「あちら立てればこちらが立たぬ」という論理だからです。標準化とカスタマイゼーションを同時に推し進めることはできません。投入できる資源には限りがあるので、同時にすべてのことをやるのは不可能です。資源が分散し、利益が相反します。裏を返せば、「何をやらないか」をはっきりさせれば、他社との違いを持続させることができるという論理です。



多様化した世の中で、何でもできるは、何にもできない、と言ってるのと同じこと、です。できないことを増やしてでも、できることの精度を上げていく必要があります。

「何をやらないかを明確にする」ことによって、その分のリソースを「やることに集中できる」ことができ、他社(者)との違いとして際立たせることができます。

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