汐見稔幸(著)『新装版 0~3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す』を読んでいます。
育児をやってみて、大変なこと、嬉しいこと、含めて色んな発見があるのですが、毎日が追われるように過ごしているのが現実です(私より妻のほうがそうでしょうが・・・)
少し立ち止まって全体感として子供に大切なことを考えてみます。
人間の大脳は、各部分ごとに分業して働いていますが、ある一部分だけを活性化してもあまり意味がないといわれています。演算の能力、意味の能力というような細分化された能力を開発しようとして、その部分のみを刺激すると、短期的にはわりあいに簡単に成功したようにみえることがあります。しかし、ちょっと長い目でみると、さまざまな問題が吹き出してきます。
たとえば知識偏重でバランスに欠けた発達になった場合には、体験の幅が狭いので、自我の形成が不十分になりがちで、少年期のころから無気力や反抗などの困った現象があらわれたりします。昔の人は、健全な人間関係のために必要なのは、「知・情・意」といい、「知育・徳育・体育」といって、バランスが不可欠なものであることを警告していました。
脳には神経細胞どうしをつないでネットワークを構成する「シナプス」というものがありますが、その数は、生後7・8カ月ごろにピーク、あとは減少していきます。
以前のブログ記事『英才教育は危険、シナプスの刈り込み現象とは?子供の成長に必要なことは何だろう。』で書きました。
記事では、感覚的な体験が大切と書きましたが、本書ではさらにバランス良い体験が不可欠と説明しています。
早いうちから演算や英会話だけ訓練しても、状況を感じたり、気持ちを伝えたり、笑ったり、泣いたりして感情表現を覚えなければ、内向きなコミュニケーション能力が足りない人間になるでしょう。
その子の持っている能力を最大限に伸ばしてあげたければ、大脳をまんべんなく働かせて、五感をしっかりと鍛えるような育児を目ざすべきでしょう。バランスのいい刺激が、豊かな人間性と奥の深い能力を開発することになります。五感を鍛えるのに最適な環境は、いうまでもなく毎日生活している場所です。赤ちゃんが寝て、起きて、泣いて、笑って元気に活躍しているわが家や、いつもの公園や散歩道が能力を育てる最高の舞台です。その舞台でたっぷりと好きなだけ遊ぶことが、五感を鍛える最良の方法です。
社会にでると色んな刺激や抑制を受けざる得ませんが、流されたり、押しつぶされないように、脳がつくられるうちにバランス良い脳の体験をさせておくことが重要です。
脳は五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)によって脳が刺激され発達しますので、五感をバランスよく刺激することが子供の脳にとって一番大切なのです。
朝陽や空を見たり、雨や風や土に触れ、公園の水道を冷たいと感じたり、成長する過程で感じ方も変化して体験として記憶していくことが重要でしょう。
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