2017年11月6日月曜日

幼稚園に入ってからでは、もう遅い。幼児の可能性は三歳までに決まってしまう。



井深 大(著)『幼稚園では遅すぎる』の本を読んでいます。

ソニー創業者・井深 大氏は1968年に幼児開発協会やソニー教育振興財団などを設立し、幼児教育の研究にも情熱を注いだことでも有名です。

脳には神経細胞どうしをつないでネットワークを構成する「シナプス」というものがありますが、その数は、生後7・8カ月ごろにピーク、あとは減少していく、という話しを当ブログ『英才教育は危険、シナプスの刈り込み現象とは?子供の成長に必要なことは何だろう。』で書きました。

脳の情報伝達を行う神経細胞(ニューロン)は140億個あると言われますが、それぞれ繋がっていて、このつなぎ目は「シナプス」といいます。

脳のシナプスが出来あがるまでに、何はともあれ五感を働かせてバランス良い体験をさせる必要があります。

著者は幼児の可能性は三歳までに決まってしまう、と断言しますが、さて何を意識すればよいのでしょうか?

最近になって大脳生理学や遺伝学の研究が進み、これまで遺伝的な要素が強いとされてきた人間の能力や性格が、じつは、〇歳から三歳ぐらいまでの幼児期に大きく形成されることが明らかになってきました。つまり、人間は生まれたときはみな同じで、生まれつきの天才や劣等生などはこの世に存在しないのです。生まれてからの教育しだいで、天才をつくろうと思えばつくれるし、劣等生をつくろうと思えばつくることも可能なのです。



子供の頃にあの友達は計算が早いだとか、暗記力があるだとか、漠然と感じ周りと比較しながらな、自身の頭の良し悪しを決めていたような気がします。

だだそんな良し悪しは、生まれつきではなく、幼児のうちからワーキングメモリーを鍛えることで向上していくことが分かっています。

以前もブログに書きましたが、赤ちゃんの時に「いないいないばあ」をすることで、自分が覚えている顔が現れたり消えたりしながら脳が刺激されワーキングメモリー(一時記憶メモリー)が鍛えられます。

そしてワーキングメモリーが発達することで会話の内容を理解しながら次の言葉を考えることができたり、計算がうまくできるようになることが分かっています。

 幼児のあいだにこそ、やさしくしかも厳しく鍛え、自我の芽ばえはじめる三歳以後は、しだいに子どもの意志を尊重していくべきなのです。
 親の干渉は、極端にいえば幼稚園以前に終わっているべきです。それをしないでおいて、子どもが幼稚園に行くようになってから、いろいろな干渉を加える─ ─ これでは、せっかくの子どもの才能を殺して、いたずらに反抗心をうえつけるだけというマイナスの効果しか生みません。



著者が指摘するように、三歳までに土台をつくり、幼稚園に入れば英才教育とばかりに教材の内容を頭の中に詰め込むことはせず、子供の才能を引き出してやることが大切です。

教育については、福沢諭吉の文明教育論の中では『学校の本旨はいわゆる教育にあらずして、能力の発育にありとのことをもってこれが標準となし』とあり、学校は教えるところ(教育)ではなく、隠れた才能や能力を引き出すところ(発育)であると説明しています。

今の教育では、学校の用意した問題は解けるが、想定外の問題は解けなかったり、新たな発想をして自ら産み出す能力は育ちません。

答えのないこれからの時代には、学校で教科書通りに教えられる教育より、才能や能力を引き出す発育が大切になってきます。

三歳までが土台づくりの重要な時期と考え、幼稚園、学校に入れば決まりきった型に入れることなくのびのびと育ててあげたいものです。

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